会 報 紙 第42号 2000年7月5日発行フッ素を考える新潟連絡会
2000年4月
フッ素に懸念をもっている人々に 出典;http://www.fluoridealert.org/limeback.htm
フッ素賛成派だった私が、なぜ反対するようになったか
ハーデイ・ライムバック歯科医師 博士(化学)
トロント大学予防歯科主任教授
連絡先 カナダ M5G−1G6 オンタリオ州トロント市エドワード通124
Tel(416)979−4936 Fax(416)979−4936
E-mai:hardy.limeback@utront.ca
1999年4月以来、私は一般社会に対して、虫歯予防のためのフッ素、特にフッ化珪酸を水道に添加する事の反対を呼びかけることにした。その理由はつぎに要約するとおりである。
フッ素化が無効であることを示す最近の科学的証拠について
1.フッ素化の有効性は観察できない
最近の幾つもの研究(1980年代から1990年代にかけて発表されたもの)が北米では 虫歯の発生率がきわめて低下し、虫歯予防に対するフッ素化の有効性が観測できなくなってきた事を示している。
虫歯の発生率の低下のため、最近では、フッ素化の効果を調べる研究では、研究対象となる被験者のフッ素化地区と非フッ素化地区の間の移動や、水道水以外からのフッ素の摂取、"ハロー効果"などを注意深く修正しなければならなくなってきた。フッ素化の効果を確証するための大規模な研究においてさえ、フッ素の利益は臨床的には適切とはいえない(虫歯を免れている1人あたり歯面数は1.5以下である)。
最近の研究が示しているところからいえば、フッ素化を中止しても虫歯が全く増加しないか、例え増加するにしても、ほとんど検出できない程度でしかないであろう。
2.世界的な虫歯の減少
フッ素化地域非フッ素化地域にかかわらず世界的に虫歯が減少してきている主な理由は、フッ素入り歯磨き剤の普及、食事の改良、一般的歯科的健康の改善(抗生物質、予防薬、衛生等)などである。
3.フッ素の全身的影響研究は皆無
フッ素はなぜ虫歯を予防するかについては、今ではより十分にわかるようになってきた。フッ素化水に多少とも利益があるとすれば、その局所的な意味(歯が生えた口腔内で歯がフッ素に接触するようになること)からである。フッ素が有効であるためには、何もこれが飲み込まれなくてはならないというものではない。フッ素は必須栄養素では
ないし、フッ素化されていない地域に暮らす子供のための好ましい"サプリメント"でもない。
フッ素の摂取は歯の生え方を遅らせ、昔いわれたように、フッ素化地域と非フッ素化地域とで虫歯の数に関係してくる(つまり、フッ素は単に虫歯の発生を遅らせるという事である)。
フッ素化に関して、フッ素の全身的な影響を分離して研究したものは皆無である。たとえフッ素の摂取による全身的な利益があるとしても、そんなものはごくわずかであり、臨床的には見当ちがいなのである。非フッ素化地域ではフッ素の全身的摂取が必要だとするような考えはすでに時代おくれであり、捨て去るべき考え方である。
長期間のフッ素の摂取
がもたらす害作用に関する新しい証拠について
1.水道水フッ素化は、産業廃棄物を添加――安全性なし
フッ化珪酸は、アメリカの燐酸工業が燐酸肥料を製造する工場の排煙装置から回収されてほとんどの大都市に売られ、そこでフッ素化に使用される。つまりフッ素化にはこの工業レベルのフッ素が使われているので、高価な試薬レベルのフッ化ナトリウムが使 用されているわけではないのだ。
そしてこのフッ化珪酸は、人間に対して安全性の試験が行われた事は一度もない。さらに付け加えると、このフッ化珪酸は、ヒ素、鉛、ラジウム等の元素で微量ながら汚染されており、これらの物質は人体に蓄積する。水道がフッ素化されている地域の子供たちにはより多くの鉛が蓄積していることがわかっており、飲料水中のラジウムは骨肉腫 (骨ガン)と関係がある。こんな有害な元素を長期間摂取することは絶対に避けなけれ ばいけない。
2.フッ素の影響(危険性)が高い人
体内に入ったフッ素の半分は骨にたまり、その量は年齢とともに増加する。最近のいくつかの疫学研究が、たった数年フッ素化水からフッ素を摂取ただけで骨折が増加するという危険性を示唆している。中等度の骨フッ素症(関節痛や関節の症状)と骨中のフッ素量との関係は、人間では一度も研究された事がない。ふつうに暮らしている人でフッ素の排泄が困難な人(腎臓病)や平均より多く水を飲む人(運動選手や糖尿病患者) たちは、フッ素の蓄積による害作用を受ける危険性がより多い。
3.この点も未解決
斑状歯(フッ素症歯)の発生率・その重度とフッ素の摂取との間には、量−依存の関係がある。虫歯の発生率が高かったときには、多少斑状歯が発生しても、それは飲料水中に1ppmという"至適量"のフッ素を供給するための取引として我慢すべきだという意見があった。しかし、1980年代から1990年代にかけて発表された複数の研究では、北米で斑状歯が急増していることを示している。そして嬰児と乳幼児の前歯が最も被害を受けるのである。というのも、永久歯がフッ素の作用を最も敏感に受けるのは、生後3年くらいの間だからである。フッ素化水の人工乳で育てられた子供は斑状歯になる危険性が非常に高い。パーセントとしては少ないものの斑状歯患者の中には、そのダメージを修復するため治療をしなければならないような重度斑状歯におかされる者もいる。長期間にフッ素が蓄積するとなぜ象牙質の色が変色するのか、その理由はよくわかっていない。すべての永久歯が斑状歯になっているという事は、過剰フッ素の主な供給源が骨であろうという事を物語っている。しかし、骨中の過剰のフッ素の作用はよくわかっていない。斑状歯をもっている子供がより多く骨折を起こすかどうかも研究されていないのである。
4.フッ素:生物的システムへのダメージ
一生涯過剰なフッ素を摂取しつづける事は、疑いもなく体内の様々な生物的なシステムに悪影響を与える。毎日低量のフッ素を摂取し続けても、それで被害を受けるのはたった一つエナメル質だけだと仮定するのは合理的ではない。
フッ素はGタンパクと細胞内の一連の多数の化学反応を活性化する。高濃度のフッ素は、ミトゲン(有糸分裂促進剤)であるとともに遺伝毒性がある。ある研究ではフッ素が生殖系、松果体、甲状腺などの機能障害を起こすことが指摘されている。
工業レベルの高濃度のフッ素は人間に対して発癌性があることは証明されている。しかし、どの程度のフッ素が骨の細胞をガンにするかというような研究は全くなされていないのである。フッ素が骨に発ガン性があるかどうかという問題は、飲料水に添加して人間が摂取しているフッ素と同じ物質を動物に与えて注意深く行った研究が何もない以上、こんな問題は問題にもならないと言って無視することなどできないのである。
(未承認薬物、法律、権利)
承認されていない薬物を、個人的なインフォームド・コンセントなしに集団投薬することの問題は提起されねばならない。フッ素の量はコントロールできない。薬物としてのフッ素は北米いたるところで加工食品や飲料を汚染している。フッ素の害作用を受けやすい者でもこの薬物を避けることはできない。
そしてこの事はフッ素化を医事法律的、倫理的なジレンマに陥れ、量や分布がコントロールできるワクチンなどの公衆衛生手段とは別なところにフッ素化を置くのである。意志に反するフッ素の投薬から自由でいられることの個人的権利は、公衆衛生的手段を個人に強制する社会の権利より、より重いであろう。まして、その利益の証拠が、精々よくいっても微々たるものでしかない以上は。
フッ素化の中止は、有害な副作用を減らす
以上に簡単に述べたことに基づいていえば、私にはフッ素化の利益なるものは、とても危険性を凌いでいるとは思えない。水道フッ素化を中止する事で節約できる金銭は、なお多くの者が直面している虫歯を減らすための衛生的な努力に対して注がれるのが賢明であろうし、また同時にこの事は、この時代後れな衛生手段のため多くの人が経験しているフッ素化の有害な副作用を減らすことにもなるのである。
《コメント》 フッ素推進の歴史は転換した!!
※ 文中の小見出し、強調・下線は編集係が付けたものです。
このハーディ・ライムバック博士は、肩書きにあるように現役の教授です。カナダでは、歯科医学会の重鎮の地位にある方だと伝えられています。その方が、フッ素推進から転じて自らの反省の弁を表明し、反対を公然と掲げたことにまず驚きを禁じ得ません。
ただ、博士の主張は、フッ素歯磨剤に予防効果を認めていることです。この点は、有害な作用を主張する我々と意見を異にしています。カナダ国内の環境学者からは、「そのために環境に放出されるフッ素は幾らになると思うのか」と追求されているとも聞き及びます(次号に紹介できるでしょう)。意見の相違はありますが、誠実にして勇気ある博士の言動、今後とも注目に値すると考えます。
<以上>