2000年 | 自由民権の研究の基礎史料集(横山真一、『自由民権』14町田市立自由民権資料館紀要) 二〇〇〇年度の新潟県自由民権研究として、一一月一日に発行された『黒埼町史』自由民権編(以下、自由民権編と略す)を挙げなければならないであろう。自由民権編は「山際七司文書」をもとにした史料集で、掲載された史料点数は六四五点を数え、五人の研究者による研究論文も収められている。 紙数の関係から、自由民権編の意義について簡単に触れておこう。新潟県の自由民権研究は、江村栄一氏の『自由民権革命の研究』(法政大学出版局、一九八四年)や『新潟県史』通史編近代一で大きく前進した。この二冊に地域研究者の研究や自治体史の成果が加わり、これまでにさまざまなことがわかってきている。 しかし、こと史料集の発刊に限って言えば、他地域に較べ大幅に遅れてきた。史料保存の観点からも、史料集発行は早急に取り組まなければならない課題でもあった。このような研究動向のなかで、自由民権編の発行は意義深い。自由民権編を使い、解明できると思われる点を私なりに列挙すると、先ず第一に地域民権運動の性格解明を挙げることができる。県内の民権運動をつぶさに見ていくと、地域ごとに異なった動きを示している。しかし、この問題についての研究はこれまでに出されておらず、自由民権編が問題解決の糸口を示してくれるのではないだろうか。第二に、自由民権編から人物発掘ができる。中心的な民権家はもちろん、ほんの短期間しか民権運動に関わらなかった人達の行動や考え方を知ることができる。民権運動の裾野には、これまで明らかにされてこなかった無名の人達が多く存在しており、是非発掘しなければならない。第三に、自由民権編は新潟の民権運動の全体像を示す契機となる史料集になるのではないだろうか。地域民権運動がそれぞれ異なった性格を持っていたように、県内の民権運動総体も他県と異なった特色・性格があった筈である。このことを明らかにすることが、新潟民権研究の究極の課題になるものと思われる。 最後に、今年八月一四日に開設したホームページ「越佐の自由民権運動」を紹介しよう。このホームページは、県内の民権家の紹介・最新民権研究・資料紹介等を閲覧できるほか、他の民権研究サイトにリンクできるようになっている。作成者として、情報交換の場になってもらえばと思っている。是非積極的にアクセスして下さい。 |