2001年
第一回新潟県自由民権シンポジウム開催(横山真一、『自由民権』15町田市立自由民権資料館紀要)
 全国自由民権研究連絡会の呼びかけに応じ、新潟でも何かできないかと企画したのが新潟県自由民権シンポジウムです。今年の第一回シンポジウムは、共催団体である県立歴史博物館のバックアップのもと、2001年10月7日に新潟市の県立生涯学習推進センターで開催しました。当日の参加者は50名余りを数え、県外からも9名の参加者がありました。シンポジウムの内容は、自由党や越佐共致会(新潟の民権結社)に深く関わった山際七司に焦点をあてた報告と資料展の二つに分かれます。
 報告は、滝沢繁氏(県立六日町高、「在地組織と山際七司」)と阿部恒久氏(共立女子大学、「新潟が生んだ民権家山際七司の生涯」)にお願いしました。滝沢氏は、新潟の国会開設請願運動の様子を、地域・家の視点を取り入れてまとめました。これに対し、阿部氏は自由党結成や「東洋自由新聞」など東京での山際の活動に触れながら、山際の民権思想が天賦人権思想に由来していることを明らかにしました。当日の参加者からは、「山際七司の偉大さを示していただき、旧黒埼町民として誇りに思い、感謝しています」という感想が寄せられました。
 資料展は、県立文書館が主催し、シンポジウム実行委員会が協力する形で、県立図書館展示コーナーで9月18日から10月28日まで開催されました。スペースの制約があり、充分な資料展とはいえなかったと思いますが、国会開設請願運動の基本史料や山際ゆかりの品々が展示され、シンポジウムを盛り上げました。
 2002年以降のシンポジウムについて、触れておきましょう。今年のシンポジウムは、10月6日に長岡市の県立歴史博物館で、演説会・懇親会を中心に民権文化を考える内容のものです。基調報告者に、稲田雅洋氏をお願いしてあります。2003年は高田事件120年にあたるため、上越市で高田事件120年シンポジウムを開催します。2004年に再び新潟市に戻り、これまでの3年間のシンポジウムを振り返り、自由民権研究の成果と課題について考えたいと思います。是非この機会に新潟に来て頂き、新潟の民権運動の魅力に触れて頂きたいと思います。
 さて県内の自由民権研究として、に2点紹介します。一つは、2000年に発表された田中和徳氏の「女性解放に尽くした西巻開耶の足取り―西巻開耶にかかわる新資料の紹介―」(『柏崎刈羽』26号)です。西巻開耶は、男女同権・女子教育・女性の経済的自立を追及した女性民権家として知られています。田中氏の研究は民権運動以降の西巻を丹念に調べ上げ、宗教家北畠道龍との交流を軸に、明治20年代以降も一貫して男女同権・女子教育・女性の自立を訴えていた西巻の姿を明らかにしました。
 2001年の研究としては、私が勤務先の生徒とつくった県立長岡明徳高校選択日本史B『長岡学校と青年民権運動』第1集があります。長岡学校教師城泉太郎や長岡学校生徒であった広井一についてはこれまで知られていましたが、この報告集では、明治10年代中頃の長岡学校の自由民権史料を一書にまとめ直してみました。さらに長岡学校生徒で民権運動にも関わり、明治20年代に鉄道技師として活躍する広川広四郎の日記・作文集を始めとする新史料も、報告集に掲載できました。今後さらに第2集・第3集で、長岡学校生徒で民権運動の影響を受けた青年が、その後どのような人生を送っていったのかを明らかにしていきたいと思います。
 



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