河野正己(こうのまさき)ホームページ
第1口腔外科臨床講義
”睡眠呼吸障害の診断と治療”
(河野正己編)
A 睡眠呼吸障害の定義
睡眠時無呼吸症候群 : Sleep Apnea Syndrome
10秒以上継続する換気の停止(無呼吸)が7時間の睡眠中にNREM期を含め30回以上繰
り返される病態(Guilleminault,1976),睡眠時間が7時間に満たない場合は単位時間
に起きる無呼吸回数(無呼吸指数 : Apnea Index )が5回/時以上をもって診断され
る(Berry,1984).
B 分類
閉塞型睡眠時無呼吸症候群
閉塞型(Obstructive Sleep Apnea Syndrome)
混合型(Mixed Sleep Apnea Syndrome)
中枢型(Central Sleep Apnea Syndrome)
上気道抵抗症候群
単純イビキ症
C 臨床症状
無呼吸(+低換気),イビキ(鼾),日中傾眠,睡眠潜時の短縮(自分をChampion
Sleeperと思っている),注意力散漫,記憶力低下,仕事の能率低下,事故多発,イ
ライラ・短気,起床時の頭痛,気分の変調,不安・鬱状態,性欲減退,睡眠中の頻回
の覚醒と排尿,昼間の幻覚,睡眠中の突然の覚醒,難聴,
D 合併症
肥満,高血圧,多血症,肺高血圧・肺性心,うっ血性心不全,虚血性心疾患,脳血
管障害,不整脈,呼吸不全,糖尿病,突然死,認識障害・精神障害,低身長,夜尿
E 疫学
日本では1%強(1.14 - 1.94%)の有病率,すなわち120万人以上の患者がいる
F 診断法
1)スクリーニング法
アプノモニター法,睡眠オキシメトリー法
2)確定診断法
終夜睡眠ポリグラフ(Polysomnography; PSG)
3)補助診断法
閉塞部位診断
咽頭造影側方セファログラム
その他,咽頭食道内圧検査,Mueller法,高速MRI
G 治療法
保存的治療
鼻閉の治療
アルコール,睡眠薬,鎮静剤の制限
体位変換
減量
薬物療法
アセタゾラミド,プロゲステロン,三環系抗うつ薬
nasal CPAP
Dental Appliance (Tongue retaining, Mandibular repositioning)
外科的治療
気管切開
口蓋垂軟口蓋咽頭形成術
UPPP (Uvulopalatopharyngoplasty)
UPP (Uvulopalatoplasty)
LAUP (Laser Assisted Uvulopalatoplasty)
舌縮小術
舌骨吊り上げ術
上下顎前方移動術
人工顎関節置換術
付録:口腔外科で経験した特殊例
無下顎症,小下顎,下顎後退症,クルゾン症候群,クリッペルフェイル症候群,顎関節リウマチ,
甲状腺機能低下症,末端肥大症,神経筋疾患(筋ジス,ALS,ミオパシー),ピエールロバン症候
群,口蓋形成術術後,顎骨切除後など.
最後に,睡眠呼吸障害は顎顔面の形態や機能の異常により気道閉塞を生じる疾患であ
る故に,歯科口腔外科の施術が有効である.反面,気道への影響を考慮しない歯科
口腔外科施術は睡眠呼吸障害の原因となることを忘れてはいけない.
"Snoring is a cry for help"
河野正己(こうのまさき)
新潟大学歯学部卒(歯科医師)、新潟大学歯学研究科修了(歯学博士)
日本口腔外科学会認定医、日本歯科麻酔学会認定医
日本歯科大 いびき診療センター助教授
こうの歯科医院 いびき症クリニック(副院長、非常勤医)
前新潟大学歯学部口腔外科講師(イビキ(睡眠呼吸障害)外来担当)
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