フッ素には環境汚染物質としての特徴的性質
蓄積性あり
蓄積性のある環境汚染物質として良く知られている
鉛のグラフ右図「微量元素」産業図書p262と
左図フッ素の骨への蓄積性を示すグラフ
「フッ素とう蝕予防」学研書院p105
は同じ傾向をしめす。さらに
鉛の毒性と比べてフッ素の方が267倍、毒性は強い
のである。
一般に微量元素が必須元素か汚染元素かを区別する目安として次の項目が上
げられている
(表1)
必須元素 汚染元素 フツ素
生体の構成機能 関係あり 関係なし 関係なし
生体内濃度 ほぼ一定 外環境中濃度に 外環境中濃度に
比例 比例
体内ホメオ あり なし なし
スターシス機能
蓄積性 殆どなし あるもの多し あり
海水中濃度 大 > 小 1.3ppm小
疾病 欠乏症 あり なし なし
過剰症 あり あり あり
微量元素としてのフツ素の必須性(筆者注:表のフッ素の項目は筆者が加筆
したものであり、一般的公平に見てもフッ素に必須性の無いことが御分かり
頂けると思うに)
2.環境と生体内金属の存在量
生体内金属は大きく2つに分けられる。第1の群は、生体の機
能、構成とはまったく関係のないもので、その生体内濃度は、その
生物の居住する土地、食する食物ないし大気中の含量に左右され、
一般に加齢とともに体内量の増加がみられ、ある一定以上合有で中
毒をおこすものである。体内での恒常性はみられない、いわゆる汚
染金属である。もう1つの群は、いわゆる必須金属で、一般に体内
濃度は、環境中濃度にあまり左右されなく、極端な欠乏や過剰の場
合を除いて、体内濃度がほぼ一定に保たれているもので、すなわち
吸収や排泄の自己調節によるホメオスターシスが保たれているもの
である(表1)。
(筆者注)
以下は必須元素の化学的特徴が論じられている、筆者の興味でノート
した部分でフッ素問題とは少しずれるが興味のある人は読んで下さい
関係する生体障害としては、欠乏症と中毒がある。
その内で、微量金属に属するものを、とくに必須微量金属とよんで
いる(表2)。
必須金属と汚染金属の最も大きな差は。生体内ホメオスターシス
の存在である。もちろんその程度は様々であるが。必須性の大なも
のほど恒常性も大である。たとえば、図2は日本人の亜鉛(必須金属)
とカドミウム(汚染金属)の1日経口摂取量の頻度分布を示したもの
であるが、必須金属では正規分布を示すが、汚染金属では対数正規
分布を示す。これは食物である動物・植物でのホメオスターシスが
必須金属ではあるが、汚染金属ではないことを示すものである。
では、必須金属と汚染金属の差はどこからきたのであろうか。も
p56(492)
ちろんその金属の性質も一部関係するが。表3の如く、一般に必須
金属は、生物が古代に誕生した環境である海水中濃度は高いものが
多く、汚染金属はその逆である。これは、当時。海水中で生産され
た原子蛋白の構成およびその機能が、その環境に合うように、逆に
言えば環境を利用して確立されてきたことを示すものである。その
環境中に合うように存在し得るようにうまく共存し、利用してきた
のである。
p58(494)
すなわち生物は、あくまでも環境の中に発生したもので
あり、無関係に存在し得るものではないことを示している。その中
でも取捨選択が行なわれ、またその後、地殻中から進出してきた現
在の汚染金属に対しては、生物は利用したり防御したりする術を獲
得していないため、少しの環境中濃度増加で障害されると考えられ
る。
もちろん、海水などの外環境中の金属濃度は、長い間に変化を来
たしている。しかし、いったん形成された蛋白その他の生物の基本
構成は遺伝的支配のもとにあまり変らない。このような環境の変化
の中で生物が子孫を残していくためには、内部環境を恒常性に持ち
ながら細胞あるいは生体を形成して外環境の変化を中に入れなくす
ることが必要であったと思われる。たとえば表4は現在の海水中と
諸動物体液中のイオン濃度を示したものであるが、脊椎動物では血
液中のイオン元素の比率は現在の海水のそれとほぼ一致するが、濃
度は3〜4倍に稀釈されている。これは海水が古生代以来大陸から
洗い流される塩類のため濃厚になってきたが、古代の海水に等価で
ある血液は、昔の環境を保っていることを示し、また、海水中濃度
増加の計算から、およそ4億年前に現在の脊椎動物は、循環系の閉
鎖を獲得し、現在まで受けつがれてきたと想定される。メクラウナ
ギでは内部環境保持機構の発達が悪く、海水中濃度上昇と共に血液
中濃度も上昇し、むしろ体細胞の方が順化したものと考えられる。
以上の如く、生体内の金属を考えるとき、環境およびその変化を
無視することはできないのである。
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