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第22回日本フッ素研究会の講演からV

第22回日本フッ素研究会の講演からV

フッ素化をめぐる科学と政治の現況

ポール・コネット(アメリカ・セントローレンス大学教授)

[世界各地の動き]

★アイルランド

 アイルランドではフッ素反対の動きが高まって政府は委員会を立ち上げました。私は反対する人たちから招待され委員会で証言しました。しかし政府や推進側は、私が話すのは困るというのできちんとした論議は行われませんでした。私は、フッ素化に反対する50か条という文書を提出し、反対する理由をまとめました。フッ素推進団体に対してこれに答えるよう求め、彼らは回答すると約束しましたが1年たっても回答はありません。マスコミは、推進側がなぜ私の質問に答えないのかを書いてくれたのがラッキーでした。

★イギリス

 アメリカに追随するイギリス政府は水道水フッ素化を進めたいのですが、人口の9%をなかなか超えることはできません。これは反対派が多いからで、そこで困った政府はヨーク大学、これはイギリスでは権威ある大学だと見られていますが、そこに委託してフッ素の利益と危険性に対する評価を依頼しました。その評価を元にして水道水フッ素化を進めようとたくらんだのですが、その結果出てきたのが、水道水フッ素化によるむし歯予防率はたかだか15%程度なのに40%以上もの子どもが斑状歯にかかっているということです。しかも評価にあたった論文の学術レベルが低く、学術的な結論が導き出せるような程度の高い論文がなかったと指摘しています。そこで政府は、再度医学団体に同じような委託をしたのですが、その結論は何一つ公表されていません。

★ニュージーランド

 この6月、私はニュージーランドで3週間にわたって16か所で講演をしました。どの会場にも当局者、推進者が来ていましたが、私と論争する人は一人もいませんでした。とにかくフッ素はいい、私とは論争するなとのメモ書きを回していました。ニュージーランドでは、最初に水道水フッ素化を推進した衛生官僚ジョン・コフーン博士がフッ素化は無効であり有害であることを発見し、立場を変えてフッ素化に反対しました。これまでフッ素化反対の運動は都市ごとにばらばらで行われていましたが、それが全国化し全体として反対しようという大きな動きになっています。

★オーストラリア

 オーストラリアでは多くの人がフッ素は当たり前と思っています。少数の人はアルミニウム工場やリン酸肥料工場から来るフッ素の害について深刻に思っています。

★カナダ

 カナダでは、バンクーバー、トロントという東西の大都市はフッ素化されていません。最近、フッ素賛成の立場だったラインバック博士が反対の立場を表明しました。その友人である学者がフッ素の広範な評価をまとめ、フッ素の効果はそんなに大きくないことを明らかにしました。それでフッ素反対の機運がにわかに強くなって、どんどん水道水のフッ素濃度を下げています。このままいくとカナダはフッ素にかかわるアメリカとの連携コネクションを断ち切るのではないでしょうか。

★アメリカ

 アメリカ環境省はフッ素推進ですが、そのお膝元である労働組合がフッ素化反対を明確にし、議会上院の公聴会に出席をするということが起こっています。弁護士であり消費者運動のリーダーであるラルフネーダーさんはみどりの党に属していて、この党はフッ素化反対を明確に打ち出しました。先の大統領選挙に立候補に大いに得票を伸ばしています。  アメリカのフッ素を推進している巨大な団体CDC(疾病管理予防局)の文書の中に、むし歯の発生率が1967年から87年にわたって減少したのは、フッ素化した水を飲んでいる人口が増加するにしたがって減少し、フッ素の効果ははっきりしていると言っています。しかしほとんどの国は、フッ素化をしていないにもかかわらずむし歯が減少している事実があります。フッ素化をやめた東ドイツ、キューバ、カナダ、フィンランドのデータを見ると、やめてもむし歯は減少しつつあることが確かめられています。

[フッ素の危険性]

★斑状歯

 フッ素で斑状歯が生じることは誰もが認めています。アメリカ当局は、0.7ppmから1.2ppmでフッ素化をやると、ごく軽い斑状歯が10%程度は発生するであろうという見込みのもとでやります。それでむし歯が予防できるなら取引としては悪くないと。ところがそうはいかない状況です。10%程度に押さえるはずの斑状歯が何と30%以上も発生しているのが実態で、しかも深刻な斑状歯も混じっていることが最近の論文で明らかになっています。

★骨フッ素症など

 関節炎は骨フッ素症の症状とよく似ています。アメリカで非常に多い病気で、60歳以上で3人に1人がかかっています。それはフッ素と関係しているかどうかわかりません。しかしアメリカ政府も研究所もそういう研究は誰一人としてやらないのです。政府がやらせないからです。

 生理が終わった後の女性は骨粗鬆症にかかりやすいですが、その治療として多量のフッ素を投与している場合があります。その論文によると、2〜3年の間に日何十ミリという大量のフッ素を与えると、骨がもろくなることが明かになっています。しかしこれは、ごく少量のフッ素を20年30年と飲むのと結果的には同じことになるのではないでしょうか。1990年に発表された飲料水中のフッ素と骨折の発生率を比較した論文では、フッ素が0.25から1ppmに増えると発生率が倍になり、4ppmになると3倍になる。これは非常に興味のあるデータです。

★松果体への蓄積

 脳の一部に松果体があります。ロンドンの研究者がこの松果体の中に高濃度のフッ素が蓄積されることを報告をしました。これがたいへんな問題を引き起こしています。松果体はメラトニンというホルモンを分泌する組織です。メラトニンは人間のからだの成熟であるとか睡眠とかさまざまな生体のリズムを支配しているホルモンだと考えられていますが、4段階の化学変化のそれぞれにフッ素が作用してこの酵素の働きを障害し、その個体の成熟を早めることが明らかになりつつあります。アメリカのフッ素の初期の研究によると、このときフッ素化をしたニューバーグ市と比較対照のキングストン市では、フッ素化をした市の少女の初潮の発生年齢が数か月早いことが報告されています。これを新しいメラトニン障害の論文とつき合わせると、非常に興味があります。

★環境ホルモン作用

 油に溶ける物質は、細胞膜を通過して外から細胞の中に物質が入っていきます。水溶性のホルモンは、油ではじかれて細胞の中に入っていきません。そこでどういう振る舞いをするかというと、レセプターにホルモンが乗っかる。そうすると細胞の中にGプロテインという仕掛けがあって、スイッチが開いたり閉じたりします。それでホルモンがきて活性化すると細胞の中にさまざまな変化例えば神経ですと電気が起こる、粘液物質が分泌される、中のDNAが変化をしたら場合によっては細胞が自殺をしたりといろいろな変化を起こします。

 ホルモンが分泌されることによって、Gプロテインが活性化したり非活性化したりするスイッチが働くのですが、その働きをどうもフッ素が障害することが明らかになってきました。リン酸が2つの状態ではスイッチが閉じていますが、これにアルミニウムとフッ素が結合した物質がくると、スイッチをオンにしてしまう。これは環境ホルモンの働きで、細胞を狂わすことが明らかになっています。アルミニウムは水の中にいくらでもありますから、フッ素とアルミニウムが合体するととんでもないことが起こる危険性があります。発がんの一つの要因と考えられ、非常に興味があり、また深刻な問題です。

*この講演要旨は、村上徹先生の通訳部分を中心にまとめました。
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