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水道水フッ素化の非効率性

第22回日本フッ素研究会の講演からU


水道水フッ素化の非効率性

加 藤 純 二 (内科医師)

 私は水道水フッ素化にはあまり関心はありませんでしたが、たまたま推進する方々の出版物を読み、その中に「水道水フッ素化は実行しやすく、安全かつ効率的な公衆衛生的な手段である」というようなことが書かれていました。しかし本当に効率的なのでしょうか。供給される水と実際に飲む水の間には大きな差があります。当然の疑問ですが、この出版物はWHOやFDAの権威をかざし、著者の科学的検討がありませんでしたし、個人的中傷が多いものでした。

 そこで私は、水道水の供給される量と飲む量との比を検討してみました。供給される水は、家庭用水として風呂、トイレ、炊事、洗濯、そしてほんの少し飲まれます。その他に公共用水、工業用水、農業用水といったものに使われています。家庭における一人1日当たりの水使用量は国土交通省の統計で平成13年は250リットルです。ここ2、3年ほとんど変わっていません。宮城県での統計では229リットル。これが家庭の蛇口で供給される一人1日当たりの水使用量です。

 これだけ供給されて、実際に飲む水はどれくらいかというと、だいたい1リットル、多く見積もっても2リットルです。

 年間の総給水量というのがありまして、これは宮城県内の市町村でかなりばらつきがあります。いちばん低い純農村地帯の石越町は、いちばん高い鳴子町の4分の1です。鳴子町は温泉街ということで、ホテルがたくさんあって人口が少ないということで、総給水量は多いけれども実際は飲まれていません。総給水量で計算すると問題が出てきますが、家庭用水については、東京でも仙台でもアメリカでもそれほど差がありません。

 これをもとに飲む量との比較を計算してみました。最初に家庭用水、仙台では229リットルで飲み水を1〜2リットルとします。これは家庭用水の0.44%から0.87%に相当します。ただ歯のない総入れ歯の人も飲むわけで、これはむし歯と関係しません。むし歯を予防するには子どもの人口の割合が必要になります。仙台市の統計で、14歳未満は14%から16%、だんだん低下してきていますので、多く見積もっても5分の1です。それで計算すると、14歳未満の子どもが飲む水は、供給される家庭用水の0.087%から0.175%ということになります。

 次に浄水場でフッ素を加えたとして、仙台市でどのくらいが飲まれるかを計算しました。これはフッ素をどれくらい添加するかというフッ素量の流れで計算してあります。

 仙台市の水源におけるフッ素濃度は5か所で測定したデータがあります。4か所は測定限界に達せず、1か所だけ0.05ppmという値がありました。これを採用して1リットルあたり0.75mgのフッ素を添加したとすると、総給水量が1億2512万トン、それをフッ素で計算するとだいたい1年間で93トン、フッ化ナトリウムで207トンを浄水場で添加することになります。

 給水人口は仙台の場合は98万人ですが、これが全員毎日1〜2リットルの水道水を飲むとすると、仙台市民は1年間に合計で268キロから537キロのフッ化ナトリウムを飲み込むことになります。これをまた、子ども人口を総給水人口の5分の1と計算すると、添加されたフッ素の0.075%から0.114%が14歳未満の子どもの摂取する割合になります。

 これが結論ですが、効率は少なく見て0.057%、多く見て0.175%で、つまり添加されたフッ素の99.8%から99.9%はう蝕予防とは関係なくむだになるという結論です。

 実はこういう効率の計算は、昭和51年に山田先生という歯医者が書かれた論文の中に、99%以上はむだになるという表現があります。今、宮城県の水道というデータをもとに計算すると、おそらく99.9%は無意味ということです。

 私は、わずかしか摂取されず、ほとんどのフッ素が環境に捨てられることに大きな問題があると思います。0.1%というのは1000分の1です。子どもに10万円のお金を送ると100円届く、そういう送金方法ということになります。みなさんはそんな送金方法をとるでしょうか。それでも送ったお金が相手に届いて、100円の価値があればいいです。それが偽札や偽金だったらどうでしょうか。    (詳しくは『フッ素研究21』02.8参照)
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