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フッ素ニュース&メモ

Fnews & Memorandum


2.許されない本末転倒

 

 FDIの84,90年の合成された「フッ素利用状況」一覧表に寄れば、 「フッ素含有天然水利用」国が64ヵ国であるという。この事実は、逆に天然か らのフッ素が飲料水に含有している国が世界に多いことを証明している。フッ 素による疾病、健康被害もまた世界的であることが予想される。

 50有余年のフッ素とむし歯を巡る歴史は、産業界(アルミニウム精 錬、燐酸肥料製造)の産業廃棄物・フッ素化合物の処理場の困難からの拡散、 軍事上(ウランの抽出製造に不可欠なフッ素)の秘密とアメリカの核による世 界政治戦略の謀略的癒着の中で、むし歯予防にフッ素が有効だとの捏造がなさ れてきたのである。そして現在では、アメリカを筆頭に燐酸肥料工業で排泄さ れるフッ素化合物が、なんらの毒性試験調査なきままに水道水に添加され、人 体を曝露し環境を汚染しつづけているのが現実である。

 この産業廃棄物であるフッ化珪酸化合物をオランダ、日本が水道水 フッ素化国に輸出しているという。水道水フッ素化は、リン酸肥料製造企業に とって一石二鳥の儲けである。フッ化ナトリウムは高価である。もし日本でも 水道水フッ素化が行われれば、産業廃棄物がアメリカ等と同様水道水(人体・ 環境)の中に投棄される日も近いであろう。

 過去の歴史と現在、その事実と課題は、むし歯とフッ素による予防 との関係が中心にあるのではない。斑状歯の疾病(病気)・疫学研究からフッ 素が犯人として突き止められたのが歴史的事実である。そして、現在もこれか らも、人類と科学はフッ素化合物の有害性との闘いを余儀なくされ、健康問題 の主要な課題であり続けているし、第二環境ホルモンとして指弾される日は目 の前にきている。

 地球上では、フッ素化合物の有害性とむし歯予防の取引も、両者の 本末転倒も問題にならないのである。

 

3.水増し(カラクリ)批判

 

3.1 FDI・ADAの集計

 日本の推進学者は、84年FDI調査に対して何の根拠・文献も示さ ないまま表3の[±4]ヵ国の加除を行っている。これは原本の改竄(かい ざん)に等しい。

 ベネズエラは、52年からフッ素化を実施した(69年WHO調査)。 90年FDI調査では、天然フッ素飲用国であり、フッ化物添加を「利用して いない」国と記載されている。当然にも日本口腔衛生学会94年出版『フッ 化物応用ガイドブック』は、ベネズエラをFDI調査(84-90年)に基づいて フッ素化実施国から除外している。ところが、98年の同学会出版『フッ化 物応用と健康』の日大松戸歯学部小林清吾論文「総人口5%以上が水道水 フッ化物添加を行っている国々(FDI,1984年)」の表中にベネズエラが搭 載されている。同じFDI資料を用いて正反対の「事実」を述べることがど うして可能なのか。

 小林はまた「水道水フッ化物添加事業に関する世界規模の情報 を扱う中心機関がないため、

現在正確な実施状況はつかめない。」と述べている。続いて「国 際歯科連盟(FDI)編纂の

データによると、1984年時点で、34ヵ国2億4,600 万人が水道水フッ化物添加事業を行って

いると報告されている。」と、1994年の改竄したデータに基づい て主張している。小林の「34ヵ国」は明らかな嘘である。

 表2は、日本のフッ素推進学者がFDI(84・90年)調査から加除 した国である。

 84年FDI調査では、[水道水フッ化物添加14ヵ国]+単独の [フッ素含有天然水利用16ヵ国]=[30ヵ国]となる。小林は、この [水道水フッ化物添加14ヵ国]に、[フッ素含有天然水利用16ヵ国] と水道水フッ素化国と判定できない[台湾等4ヵ国]を加えた 20ヵ国を「水道水フッ化物添加事業を行っている」と根拠も なく断定し[14+16+4]=34ヵ国だと主張していると計算できる。小林は 三重の手管(てくだ)を織り交ぜたのである。

 84年時点での水道水フッ化物添加国数は、その内実を問わなければ、 非国家プエルトリコ(アメリカの属州)、アンチル(オランダ領:カリブ海) を差し引いた[水道水フッ化物添加14−2]=12ヵ国が正しい

 

            表2 日本の推進学者による加除          

                      ()内:FDI発表年と状況 

     除外したフッ素化国
   
98年
ADA
 フッ素化に改竄した国
 
98年
ADA
    (90年、●)ガイアナ
    (84年、●)キューバ
    (84年、●)エジプト
    (84年、●)クウェート
◎掲載
◎掲載
◎掲載
未掲載
( 90年、無)台湾
( 84年、無)ガーナ
( 90年、▲)ハンガリー
( 90年、無)ルーマニア
◎掲載
未掲載
◎掲載
未掲載

    (注)● ▲ は表1に同じ 無:FDI調査では空欄である       

          

3.2 根拠なき合算

 推進学者の第二の改竄は、94年に出版した日本口腔衛生学会フッ素研 究部会『口腔保健のためのフッ化物応用ガイドブック』(口腔保健協会)16頁の 「表12 世界各国の水道水のフッ化物添加地域の人口(天然フッ素地域を含まない)」 記載の38ヵ国一覧である。

 この表の38ヵ国の内訳は、FDI調査の水道水フッ化物添加[84年14ヵ国] と90年[24ヵ国]を単純に合算した数値である(図参照)。ただし、表2の[ガイ アナ等4ヵ国]を除外し、一方で水道水フッ素化国と断定できない[台湾等4ヵ国] を新たに挿入し加除を行った上で同数38ヵ国と主張しているに過ぎない。38ヵ国の 中には、国家ではない香港(中国に返還)・プエルトリコ・アンチルを含んでいる。

 98年ADA調査では、表2で日本口腔衛生学会によってフッ素化国に加えら れたガーナ、ルーマニアは未掲載、除外したキューバ、エジプトは90年FDIに継続し て「フッ素含有水道水利用」国に復活掲載されている。日本口腔衛生学会は、この [±4]ヵ国の加除とガーナ、ルーマニアとキューバ、エジプトを如何なる調査に基 づいて加除したのか。何らの根拠も文献の明示もなしに、記載事項を変更するのは 改竄の誹(そし)りを受けて当然であろう。もともとFDI調査は政治的色合いが強い のだが、84年時に水道水フッ化物添加国であるという14ヵ国が、そのまま90年段階 でも実施国であったか否かの調査は示されていない。例えば、旧ソ連は明らかに、 統一ドイツも前後で中止されている。

 38ヵ国から[台湾等4ヵ国][非国家3地域]中止した[旧ソ連、ドイツ] を除外すれば、90年時の水道水フッ化物添加国数は、その内実を問わなければ 29ヵ国以下が正しい。

3.3 FDIとADAの継承関係

 結論から先に述べれば、ADA(米国歯科医師会)の「フッ素含有水道水利用」 なる造語による「56ヵ国」説の主張は、彼らの数値においてすら水道水フッ素化国数の 減少(90年38

ヵ国→98年29ヵ国)に直面し、これを誤魔化すための新たなカラクリである。 フッ素含有天然水利用23ヵ国と幾つかの修飾(カモフラージュ)を加えて算出した数値 である。

 98年ADA調査による56ヵ国は、FDI調査の90・84年(93年:高橋)のどの国を 巧妙に組み込んで水増しした主張なのか。表4と図並びに表3:ADA「56ヵ国」一覧を 表1から作成し過去のデータを再掲した。まず「33番スペイン」を境に上下に分類され る。個々の数値の検討は後述するが、推進学者が主張するFDI[84-90年]とADA[98年 ]数値の継承関係を見ることができる。その一致数は32+1=33ヵ国である (表3,4,図参照)。

 56ヵ国の内訳は、84~90年FDI「水道水フッ素化」38ヵ国からこの33ヵ国を 継続実施しているものと見なし、それに「フッ素含有天然水利用」23ヵ国を足し算 したのが「フッ素含有水道水利用」の正体である。従って、以下では「水道水フッ 素化」33ヵ国をもっぱら検討すればよいこととなる(第7節で検討)。

 

  表4 FDI・ADAのフッ化物応用国集計値     図 FDIとADAの継承関係

                             80


西
 


水道水
フッ素
化国数
 @

 フッ素含有天然水
   利用国数



@+A
 


   38
   ヵ国




   42
 

24

 



   56ヵ国
単 独
 A
@とA
重複数

 
14
 







 

22

10
 1
21

 2


  33



  23
  
98 33 23 18 41 56
90
84
24
14
26
16
 15
  7
 41
 23
50
30
 1
26

 
38(42)(22)64(80)
69 32 32
注)98年ADA数値は「フッ素含有水道水利用」
 56ヵ国と表されている。内訳分類は、84,90年
16
 

 FDI調査等の実績をもとに推測した           84-90年   98年  


 
 
 
水道水フッ素化国数   
フッ素含有天然水利用国数

 

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