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フッ素ニュース&メモ

Fnews & Memorandum


世界の水道水フッ素化;18ヵ国

―「フッ素含有水道水利用」・「56ヵ国」説批判―

はじめに

 日本では1999年9月ごろから読売新聞を筆頭にしたマスコミが、水道水フッ素添加を 日本でも実施せよとのキャンペーンを執拗に繰り返している。その中で水道水フッ素化が世界 で56ヵ国存在し、「フッ化物によるう蝕予防は、世界の常識」だとの宣伝を企業とともに流布 している。 これらの背後にある日本のフッ素推進学者の主張は、米国政府内のフッ素応用推進 機関と、その影響下にあるWHO・FDI(国際歯科連盟)・ADA(アメリカ歯科医師会)やイギリ スの作為的数字を無批判に垂れ流しているに過ぎない。 本稿では、ADAが主張する「フッ素含有水道水利用」という新造語に基づく「56ヵ国」 説の真偽を検討し、水道水フッ素化国は18ヵ国であることを論証する。

1.造語による便法

   1998年ADAの56ヵ国の主張は、表1に示した84・90年の 「▲フッ素含有天然水利用」42ヵ国の中から23ヵ国を抽出して組み込んだ数字である (8頁図参照)。  米国の推進勢力はこれまで、水道水をフッ素化している国の数を主張してきた。 日本の推進学者は、FDI調査の84年と90年のフッ素化国を恣意的に合算してではあるが、 それでも「水道水フッ素化38ヵ国、フッ素含有天然水利用国64ヵ国(併用国22ヵ国を含む)」 と分類してフッ素化国数の多さを誇示してきた。  従来水道水の「フッ素化、フッ化物添加」とは、薬物としてのフッ化物を水道水に 人工的操作で注入(添加)する事と定義的に理解されてきた。ところが、90年代に入って水道 水フッ素化の世界的退潮に直面した彼らは、「フッ素含有天然水利用」を「至適濃度 のフッ素を含んだ水道水を利用している」として、 「水道水フッ素化国」+「フッ素含有天然水利用国」=フッ素含有水利用国と、 両者を分類することなく同一の範疇(はんちゅう)に包摂する手法を編み出した。このADAの 「フッ素含有水道水利用」という造語は、自然状態で水道水に含まれるフッ素まで自己の 範疇に取り込まんとする作為、定義的理解を希釈化する意図を持っている。 この概念を認めることは、フッ素化合物がほとんどの生物・生態・環境に存在する中 で拡大解釈を放任することに繋がる。一例を挙げれば、日本各地の水道水には0.7ppm前後の フッ素を含む水道水が相当数確認されている。また広島県のA町では、現在でも上水道がなく 1.7ppmという高濃度のフッ素を含む地下水を飲用水にしている。子供に斑状歯が発症し健康へ の不安を訴えている。ADAの造語に照らせば、日本も「フッ素含有水道水利用国」に分類される。 このようにして数えられたのがイタリア・フランスなど23ヵ国である。 インド・中国などは、天然水等に多量のフッ素を含むこと、食生活・大気からの フッ素摂取が過大で一日総フッ素摂取量と曝露がフッ素症を惹起する原因となっている。 フッ素被害は甚大にして数千万人規模で斑状歯・骨硬化症等の発生を現在も余儀なくされて いる。その(除フッ素、砒素)対策が最大の課題となっている。アフリカなど世界各国では、 完備された給水施設を保持できない地域が多数存在する。飲料水はいまだ多くが天然水 (雨水・地下水・表流水)に頼っているのが現状であり、その確保すら経済的に大変な人々 が多いことを知るべきである。 「至適フッ素濃度」を仮に認めたとしても、かかる国々が各地域ごとに常時飲料水 の水質検査(多額な費用と技術・人員を要する)を実施し「天然含有フッ素」量を調節して、 むし歯予防に応用しているなどとの主張を誰が信用するだろうか。
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