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会 報 紙  第37号  1999年 11月28日発行 フ ッ 素 を 考 え る 新 潟 連 絡 会 学者の声        

再び;負の遺産の危惧

                 産業衛生学雑誌「編集後記」より抜粋  1998年は、和歌山の砒素事件をはじめとして様々な化学物質が注目を浴びた年で した。環境医学の面では、外因性内分泌攪乱化学物質が大問題となりました。1962 年、Rachel Carson は名著“Silent Sprinng”を上梓し、環境中に負荷されたDDTやBH C等の難分解性蓄積性有機塩素系農薬の健康影響・生態影響に警鐘を鳴らしました。 およそ35年後の昨今、同じ難分解性蓄積性有機塩素化合物であるダイオキシン類が 外因性内分泌攪乱化学物質として環境中に拡散し、健康影響懸念の主役になっている ことに改めて驚きます。ソーダ工業の余剰産物であった塩素利用を出発点とした塩素 化学の発展の負の遺産にあと何年振り回されるのでしょうか。また近年大発展してい るフッ素化学でも、将来同じ様な負の遺産が発生しなければよいがと危惧をします。 (大前和幸、慶応大、「産業衛生学雑誌」41巻、1999年;下線強調は抜粋者) 〈コメント〉  産業・医薬でのフッ素化合物の利用は、人間への曝露量と自然への蓄積を途方もなく 増大させつづけています。フッ素化合物は、今や5万種以上にものぼり生活の隅々にま で浸透しています。ある限界を超えた段階で、ある時期に予想もしえなかった被害が、 突如として各人の身体の変調に、国民・社会の前にその姿を現しかねないのです。 心ある学者・専門の学者達は、既に上記の発言のように危惧の念を抱き始めているので す。  フッ素応用推進学者には、かかる感性は望むべくもありません。 私達が、身体に取り込む一日の総フッ素摂取量こそ大切でありもはや許容限度を超え 始めていると、警告を発しているのはこの点にあるのです。フッ素は、人と生物の健康 とって許容量なき迷惑物質なのです。自然界から不可避に入ってくるフッ素の害を免れ るために、生物は生きる知恵・フッ素を無害にする様々な工夫を身体に凝らして自らを 防御してきたのです。 <以上>
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