ok.p.16 雪の夜−沈黙 音もなく 雪の降る夜 村の若者たちは 山峡の公民館の ごうごうとうなりをたてるストーブに 環をつくる 手をかざして、 みんなが黙っている 山はだのこがらしに冷えきった 心を暖め合っているのだ 冷えて ひび割れて 血のにじんだ胸の中を 誰も語りたくないのだ そっとして 誰も語りたくないのだ そっとして 互いにさわり合ってはいけない…… ただストーブだけが夜の静けさの底から うなりを立てて燃えている そのうなりの中で 互いに見つめ合っているうちに 互いの心はとけ合ってくる
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