3.環境汚染物質と健康障害

  病気の過程と環境汚染物質の濃度との関係は図6に示すようになる。特殊な
例を除いては、現在の環境汚染濃度は病気準備状態を惹起していると考えら
れる。人は蓄えた余力を消耗しながら戦っているのである。代償力や適合力が
限界にくれば臨床症状を呈してくるが、その両者間には断裂はなく連続的であ
る。
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4.環境基準について

  ある化学物質が環境中に増加して、人の健康に障害を与える場合。次の段
階が考えられる。
(1)全く影響を与えない濃度
(2)生理機能に何らかの変化を与えるが可逆性である濃度
(3)非可逆性の生理機能障害があるが、生体機能には影響ない濃度
(4)生体機能に影響を与える濃度
(5)慢性中毒をおこす濃度
(6)急性中毒をおこす濃度

一般環境基準(standard)は。労働衛生上の許容値(level)と異なってあ
る母集団の中の最も感受性のある人にも影響を与えないものが望ましく、無
反応量以内にとどめるべきである。しかし、(2)の可逆性のある生理機能
の低下は人の適合能力以内にあるものとして許容される。

現在の環境基準決定には、産業界での経験や推定を基にしているものが多く、
それは人類がすべての化学物質について生態系の変化も合めた無反応量のデ
ータを手にしていないからである。

もう1つの大きな基準決定の因子は、社会的、政治的なものである。すなわち、
現在の環境基準は、不十分な科学データを基にし、人のみを中心に考え生態系
の概念なしに、また政治的なものとのバランスの上で決定されているもので、
その量以下であれば100%安全であるということではない。その量はその時
代のその環境の住民によって決定される流動的なものである。

(筆者注)
フッ素による虫歯予防は(5)(6)の段階でのフッ素の応用であることに注
意して頂きたい。



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