不幸なことに、歯のフッ素症の起こる正確な機構は未だ十分には理解されて
いない、形成中の歯がどの段階で最も危険にさらされるかさえ明白ではない。
1979年にWeatherellらは[37]石灰化の初期の段階の形成期の歯が最も障害を受
けやすいのではないかと示唆している。
しかし1977年Fejerskov らは[38]フツ素は直接エナメル質結晶核を形成する段
階と結晶成長の双方又はいずれか一方の過程に影響すると示唆している。

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歯のフッ素症の正確な機構が分かるまで、斑状歯は病理学的な重要性はないと
幾人かの権威者が主張することは愚かなことである。

 歯のフッ素症の起きる中での変化は、細胞の近所のフッ素の毒性レベルが原
因で、二次的に細胞の機能障害が起きるのであろう。
この細胞機能への障害は、一定の酵素系にフッ素が抑制的に作用する影響と関
係づけられる[39]。
極めて低い濃度のフツ素によって歯の形成に必要とされる酵素や生理的仕組み
ばかりではなく、多くの重要な酵素と生理的仕組みは障害をうける、例えば、
石灰化、エステラーゼ、酸性グリセロリン酸酵素、炭酸脱水酵素、炭酸脱水酵
素、アデノシン三リン酸、フォスフォモノエステラーゼ、赤血球無機ピロリン
酸酵素、クエン酸脱水素酵素、イソクエン酸脱水素酵素、リパーゼ、肝エステ
ラーゼ(PH3)そして人の血漿コリンエステラーゼは0.0095 ppm~0.19ppmの
フッ素濃度で影響を受ける[40-42]。
この数値は前述した証拠、体重10kgの子供に1.1mgのフッ素を内服させた結果、
その10%が血中に見いだされ、血中フッ素濃度の最高値が0.18ppmFになったと
いう数値[33]と比較出来る。 さらに高濃度の血中フッ素濃度に達するフツ素
ゲルで虫歯予防処置を受ける患者であれば、もっと多くの酵素と生理的仕組み
が障害を受ける、例えば、クエン酸産生、酢酸の活性、リン酸酵素、ピロリン
酸酵素、グルタミン合成酵素、酸性リン酸酵素、は0.95-1.9ppm[40-42]のフッ
素濃度で障害を受ける。

 人の細胞にフッ素が障害を起こす可能性あると考えられる新たな証拠は次々
に出て来ている。フツ素が他の元素と水素結合する能力が強力であることはか
なり前から知られていた、しかしフツ素が生体分子間の致命的に重要な水素結
合を妨害する可能性については、ほんの最近注意を引くようになった。
1981年にJ.Emsleyらは、フツ素とアミド−アンモニアの有機塩との間に形成さ
れる新たな、強力な、水素結合を発見したと報告している[43]。生体細胞の多
くの構成要素はアミドクループを含んでいる、アミド間の水素結合は生物学の
組織のなかでも最も重要なそして弱い水素結合である。これらはより強力なフ
ツ素との結合によって崩壊させられる、このことはフツ素イオンが生体組織の
健康な仕組みをいかにして化学的にる不活化するかを説明している。



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