p438 これらのケースでは投与は腹腔内の注入による、(0.1cc 1:1000溶液を毎日) または飲み水を通じて(3~4cc 1:50,000毎日)。 この再吸収の故に、フッ化ナトリウムとフッ素化カルシウムの投与は通常は妊 娠期間の後半まで延期された。」と書いている。引用論文の研究は信頼されて いる二人の研究者 H.S.Flmingと V.S.Greenfieldによってエール総合大学の病 理学部門でなされ、1954年12月の「歯科研究雑誌」に発表された。 驚くべきことに、歯科医学研究者はフッ化ナトリウムが含まれる歯科用薬剤の 広く普及し、そして充分な監督無しに使われているということを知っているは ずなのに、そしてマウスは人と比べてフツ素の毒性に強いと考えられているに もかかわらず、このFlemingと Greenfieldの実験は追試されることもさらに研 究されることもなかった。実に、この研究はフツ素に関する歯科の研究文献の 中でほとんど取り上げられることはなかったのだ。この実験は投与量が多過ぎ るという議論があるかもしれないが、本当であろうか。内服されたフツ素は胚 と胎児に影響を与えた、つまりフツ素は胎盤を通過したのである、 そして我々は、この実験が追試されるまでは、どれくらいの血中フツ素量が胚 と胎児に奇形を引き起こすかを知る方法はないのである。 胎盤を通過したフツ素は形成期の歯と骨に迅速に沈着するということはありふ れた知識である。しかし、胎盤を通過したフツ素は、歯と骨の石灰化が始まる 前 (8週間以前)の胚の代謝循環のどこに行くのであろうか。この知識がマウ スが妊娠の第一日めからフツ素を与えられたとき、 FlemingとGreenfieldの研 究の中で示されたように、何故胚細胞が吸収を受けたのかの説明と成り得るの であろうか。この問題は、少なくともフツ素の摂取の医学的な適応の目安は無 いままに、専門家が妊娠中の母親に妊娠後3ケ月から6ケ月以降にだけ 毎日 3.3mgのフッ化ナトリウムを摂ることを未だ推薦している[23]、という点 で重要なのである。また、1980年 9月付けの「化学物質の毒性リスト」には、 アメリカ国家癌学会によってフッ化ナトリウムは現在、発癌性の標準的なテス トを受けることにされているという事実が記されている。今のところ、そのテ ストの結果は公表されていない、しかし1982年の日本癌研究学会の演題では、 フツ素濃度75、100、125ppmのフッ化ナトリウムによって培養ハムスターの胎児 の細胞の第二世代で悪性の変形を誘発されたと報告されている[47]。虫歯予防の ためのフツ素錠は1940年後半に初めてに製造された。 このフツ素錠には 2,21mgフッ化ナトリウム、約1mgのフツ素が含まれていた。 元々そのフツ素錠は1リッターの水に溶かすよう調製され、飲用されていた、 そして、その方法は子供がフツ素化された 1ppmの水を飲むことを想定して開発 された[48]。 しかし、1950年年の後半、製薬企業は心地よい風味のする丸ごと飲み込む、ま たは噛んでそれから飲み込むフツ素錠を製造するようになった。そして、その 後は、フツ素錠は水に溶かして投与する方法に代わって内服用になった、つま り、一日何回かに分けての投与量を一度に内服することになったのだ。不幸な ことに、現在は我々は子供が 1mgのフツ素を内服した場合、血中のフツ素濃度 は増加し形成中の歯に障害を起こすのに十分な程に上昇することを知ってしま っている。 p439 さらに、フッ化ナトリウム錠は水中でNa+とF-イオンに分解するすなわち、 NaF⇔Na++F- となる。そして、胃の中の塩酸と反応すると極めて腐食性の強力なフッ素化水 素酸が合成される、何故ならフッ化水素酸のpKは3.18そして胃のpHは食物の無 い状態で一般にpH1と考えられているからこの反応は容易に起きる。 文献によれば多くの論文がフツ素には変異源性があることを主張したり示唆 したりしている、これらの論文の幾つかは国立科学アカデミイのアメリカ国家 評議会によって再検討されている[49]。このような資料にはほとんど注意され てこなかった。何故なら、多分公表された証拠がフツ素イオンに関するより、 植物やショウジョウバエに関する研究であったり、主にフッ化水素酸の投与に 関するものであったためであろう。現在でも、決定的な証拠は無い、しかしフ ツ素の変異源として働く可能性を除外するすることは出来ない。 最近のJ.Emsley研究[43]はフツ素イオンが DNAに障害を起こすことを示唆し ている、もしそうなら、体重 1kg当たりの計算上のフツ素の毒性投与量は全面 的に不適当なものとなることを証明するかもしれない。 10mmの人の胚細胞をどれくらいのフツ素がダメージを与えるのであろう。 1982年 A.L.Duxburyらは[30]、英国歯科雑誌の論説でフツ素の毒性を討論す る中で、「しかしながら最近の証拠は、フツ素の毒性が低く見積もられている かも知れないという事を示唆している。」。と解説している。そして「エナメ ルフツ素症の生じる機構は未だ十分理解されていない・・」[5] そして「フツ 素による毒性影響の仕組みは未だ明らかにされていない。」[30]という事を認め る我々はいまだフツ素の毒性の本性に関してもっと研究しなければならないと 言うことを示唆されているのかもしれない。 ホームページ目次に戻る フッ素目次に戻る 次へ