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炭焼き小屋の月光の下で

炭焼き小屋の中へ忍び込んで来る 月光よ おれは今 お前の光の中で 飢えの怒りのペンを突き立てる 炭焼き窯よ 今日も又月光の下で おれとお前は向き合っている おれは生きるために お前はおれを生かすために 宇宙が眠りの世界へ沈む時 おれとお前は向き合っている あれから三十年間 おれとお前は向き合って来た 月光よ もっと白く照らしてくれ 炭焼き窯よ もっと怒りの黒煙を上げよ おれは 飢えた胃の腑と魂の怒りのペンを走らせよう 宇宙が眠りの世界へ沈む時 月よ お前は何故白い光の目をむいて覚めているのか 宇宙の陰へ追いやられた怨念 おれは おれの生存をさえ奪おうとするものへの 怨念をいだく時 ひもじくなると眠れない 胃の腑も魂も この怨念に 波だちさわぐ
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